弥生さんの左手にあるもの【VEGETAPSY4コマ-STORY103】

弥生さんはいつも肌身離さす左手に数珠(rosary)を付けている。
少し気になったので聞いてみた。
ヨレタ(YORETA):弥生さん(YAYOI)。
        どうしていつも左手に数珠(rosary)を付けているの?
弥生(YAYOI):ん?これか?これはな…

弥生(YAYOI):
以前花巻市で経営していた会社が、不渡りを出して倒産したんだ。
その時すでに離婚して、独り身だったんだけど彼女がいた。
その彼女を連れて一緒に逃げてきたんだ。
逃げてきた以上は、覚悟の上での生活だ。
彼女を食べさせてやらなきゃいけないので、
俺もいろんな仕事をして、必死に生きてきた。

弥生(YAYOI):
俺は、去年までは関東地方で警備の仕事をしていたんだ。
柔道の有段者の経験を生かせる仕事だった。
ところがある日、コンサート会場で酔っ払いが乱入して、そいつが歌手に危害を加えようとしていたんだ。

弥生(YAYOI):
奴は刃物を持っていた。
しかし俺はひるむことなく、果敢に挑んだんだ。
“彼女を食べさせていかなくてはいけない!!”
その頃は、その想いでいっぱいだった。
だから少し力が入りすぎてしまったんだ…


弥生(YAYOI):
彼はぶつけた場所が悪かったんだ。不幸にも亡くなってしまった…
あぁ!!オレは何ということをしてしまったんだ!!
本当に!!本当に申し訳ない事をしてしまった!!
自分を戒める意味もあるが、その事件をいつまでも忘れないように、いつも数珠(rosary)を左手に付けているんだよ。
命日には今でもお墓参りに行っているんだ。