竹之とラジオ⓵【VEGETAPSY4コマ-STORY46】

お父さんの機嫌が良かったのか、悪かったのかわからないが
今夜も叩き起こされて、お父さん主催のお話タイム
一大イベントが始まった。
今夜のお話は”電気商会を始めた話”
竹義(TAKEYOSI):竹之を知っているだろ?
俺達4人兄弟の次男だ。

俺達がまだ小さい時の話だ。
おじいさんの竹蔵(TAKEZOU)が
自分で浪曲を聞くために、ラジオを買ってきたんだ。
当時は電気製品なんて出回り始めたばかりだから
俺達は嬉しくて嬉しくて…
竹之(TAKEYUKI):うわぁ!!ラジオだラジオ!!
竹蔵(TAKEZOU):どうだ?良いラジオだろう?

それなのに竹之(TAKEYUKI)が、ドライバーを持って来て
そのラジオをバラバラに分解し始めたんだ。
あいつは何を思ったんだろうな?
分解してもこの程度なら、
自分で元に戻せると思ったのか?
竹蔵(TAKEZOU):うわああああああ!!
         俺のラジオが!!

可哀そうに…晩御飯前なのに竹之(TAKEYUKI)は
自分で分解したラジオと一緒に
家からつまみ出されてしまった
本当に馬鹿だなぁ…
竹之(TAKEYUKI):お父さん!!ごめんなさい!!
竹蔵(TAKEZOU):これからお前はそのラジオを持って
         誰かに修理をお願いしなさい!!
         ラジオが直るまで家に帰ってくるんじゃない!!
         馬鹿垂れ!!

次の日の朝
竹之(TAKEYUKI)がニコニコしながら家に帰って来た。
不思議な事もあるんだな。
もう二度と鳴らないと思っていたラジオが
ちゃんと鳴っていたんだ。


 

 

 

 

 

浪曲とは?

明治時代初期から始められた演芸の一種。三味線をバックミュージックにして、独特な口調で物語を朗読していく作風。終戦後までは流行したが、時代の流れとともに演歌や歌謡曲に押され、今ではかなり希少な存在となった。
管理人の家にも、おじいさんが趣味で集めていた「紀伊国屋文左衛門」や「乃木将軍伝」などの浪曲のレコードが、いくつか残っている。