稲作に欠かせない農薬散布の方法【VEGETAPSY4コマ-STORY139】

稲が大きくなるにつれてニカメイチュウ(Asiatic rice borer)やツトムシ(Rice skipper)、ウンカ(Brown rice planthopper)などの害虫が発声してきます。
害虫が増えてしまうと苗が育たなくなったり、稲穂が出なくなったり、米の品質が落ちたりします。

さぁ、農薬の登場です。
私たちの家で使用する農薬は粉剤で、それを2種類混ぜ合わせて使用します。


お父ちゃんは”背負い型噴霧器”を使います。
この機械の中に農薬を入れてエンジンをスタートさせ、コックをひねると空気に乗った粉剤が青いホースの中に充満し、ホースの小さな穴から農薬が噴出される仕組みです。

なので、この方法では必ず2名での作業となります。
青いホースは薄くて軽い素材で出来ているのであまり腕に負担はありませんが、ホースの中に農薬が滞留しないようにするため、ホースを上下左右に振りながら歩きます。
細い畔道を歩くので、時々転んでしまうこともあります。

☆これが「背負い式農薬散布機」。動画では”カメムシ(Rice bug)”の防除だそうです。

☆これは動力噴霧器を使用した液剤の散布風景。

☆最近ではドローンによる農薬散布も増えてきました。

ある日、お父ちゃんが稲の苗を持って喜んで家に帰ってきました。
竹義(TAKEYOSI):おい!!良いものを見つけたぞ!!
        これを見なさい!!綺麗な花が咲いていたんだ!!

得(EL):
お父ちゃん、それは花ではありません。
“ジャンボタニシ(正式名称…スクミリンゴガイ/Channeled apple snail)”の卵だよ。
そんなもの火を点けて燃やしてしまいなさい。

 


―ニカメイガ(ニカメイチュウ/Asiatic rice borer)―
ニカメイチュウは藁の中で幼虫のまま越冬します。
成虫となり、稲の葉に卵を産み付けます。
その卵から生まれた幼虫は稲の茎に中を侵食し、稲の茎を枯らせてしまいます。
第一発生時期と第二発生時期があり、第一発生時期には最盛期の15日後頃、第二発生時期には最盛期の5~7日後頃に薬剤散布を行います。

―ウンカ類(rice planthopper)―
ウンカによる被害は主にセジロウンカ(Whitebacked rice planthopper)とトビイロウンカ(Brown rice planthopper)によるものが多い。
共に稲の導管などに口を差し込んで養分や水分を吸い取ります。
被害が大きくなると田んぼ全体が黄化します。
セジロウンカは日本では6月下旬から7月上旬に飛来します。
飛来後2~3日で卵を産み始め、2~3週間で成虫になります。
飛来してから1~2後をめどに”次世代幼虫”を対象とした薬剤散布が必要になります。
トビイロウンカ(Brown rice planthopper)の場合は6月末~7月にかけて中国南部や東南アジアから日本に向かって飛来します。
増殖率が高く、晩生種・もち米・肥沃な土地での被害が多いです。
飛来のあった20~25後をめどに一回目の薬剤散布を行い、8月下旬には”ふ化幼虫”を対象とした二回目の薬剤散布を行いましょう。

―ツトムシ(Rice skipper)―
イネツトムシ(イチモンジセセリ/Rice skipper)は、6月中旬~7月中旬の気温が高い場合には被害が大きくなります。
幼虫は稲の葉を巻いて筒状にして、日中をその中で過ごし、夜間に出てきて葉を食害します。
加害量が多くなると稲穂が出ないことも多くなります。
稲の葉を巻きこんでいる幼虫には薬剤散布の効果はあまり期待できませんので、早い段階で薬剤散布を行いましょう。

―スクミリンゴガイ(Channeled apple snail)―
スクミリンゴガイは比較的大きな淡水巻き貝で、食用として1981年に台湾から持ち込まれたもの。日本全国に養殖場が出来ましたが、需要も無く採算が取れないために廃棄されました。それが野生化し分布が広がっています。
以前にも、教育の一環としてこのスクミリンゴガイを試食した生徒さんたちが食中毒を起こしたニュースもありましたので、決して食べないようにしてくださいませ。
田んぼの中の稚貝はその田んぼ内で越冬し、熟成したものがほとんど。
田植え後2週間ほどが加害時期です。
対策としては水深が深いほど食害被害が大きいので、浅水管理を徹底する。
川の水の中に混じって侵入することもありますので、水の取り入れ口に侵入防止用の網を張る。田植え直後に食害忌避剤を散布する。
これらの対策を行うとともに、スクミリンゴガイのいる水田内では土が乾いた状態でも越冬しますので、貝を粉砕する目的でトラクターによる耕起(出来るだけ土を細かくする)を行います。