こんなお風呂に入るのは嫌だ【VEGETAPSY4コマ-STORY120】

トイレ以外にも不便な箇所があります。
この家のお風呂は「五右衛門風呂(goemon-bath)」だ。
このお風呂は通常のユニットバスと違って浴室内に鉄の窯が設置されており、その周りをコンクリートで固めてタイルで装飾されている。
窯の底には排水用の穴が開いているので、布を巻き付けた木片をその穴に突き刺して栓をしておく。
浴槽の底が鉄の窯なので、そのまま入ると火傷をします。
なので、鉄の窯の底に大きめの木の板を敷いて、満水時にその木の板が浮いてこないようにしなければいけないので、五寸釘を駆使して固定しておくのだ。

木の板を設置したら蛇口をひねって井戸水を出し、浴槽に水を貯めます。
お気づきになりましたか?
このお風呂は年代物なので、壁のタイルが割れてしまい、大きな亀裂がある。
おそらく柱が腐っているため、支えきれないのだ。
時がたつにつれ床が下がってきており、入り口から奥側に向かって下り坂のようになっている。
“いつ崩壊するかわからない”そんな気分での入浴は、怖い。

もちろん給湯器なんてない。
それでは、浴槽にためた真水をどうやって温めるのか?
方法はトイレに横に設置されている「かまど」を使用する。
このかまどは浴槽に真下に設置されているので、火をつけて薪をくべる。
通常は40分ほどで適温になるが、この家のお場合は1時間ほどかかります。
理由は浴槽と鉄の窯の接着面が割れており、そこから水が漏れだすため、かまど内部に水がしたたり落ちていることが原因です。

かまどの煉瓦も老朽化が激しく、鉄製の型枠で固定をしています。
薪を追加する時も細心の注意が必要で、鉄枠に当たってしまうと煉瓦が崩壊してきます…。泣きたいです…。