山の神様:竹義さん(TAKEYOSI)。良かったね。
あなたはもうすぐ退院出来ます。
でも、あんまり無理はするなよ。
山の神様:やぁ。君たち、帰って来たのか?
ちょっと大切な話があります。受付ホールに行きましょう。
蒔(MAKI):はい、わかりました。
あなたはコーヒーと紅茶、どちらを飲みたいですか?
山の神様:
お前たちはもう子供じゃない。だから理解が出来ると思います。
今から言う事をよく聞いてください。
お父さんの左腋には大きな腫瘍が存在しています。
竹義さん(TAKEYOSI)が無事退院出来たとしても、彼の命はそんなに長くはないと思います。
もしもの時が来たら、あなた達はすごく忙しくなるでしょう。
なので、今から準備を進めておく必要があります。
蒔(MAKI):準備?一体何の準備ですか?
山の神様:相続だ!!相続!!
山の神様:
竹義さん(TAKEYOSI)はあんな感じの性格なので、彼は詳しい話をあなた達には言っていないと思います。
分かりやすく言いましょう。
あなた達が住んでいるあの家は、汚れた土地の上に建っています。
よし子さん(YOSIKO)さんが嫁いでくる前に、あの家には「根抵当権(revolving mortgage)」が設定されていました。
山の神様:
あなたたちに対しての返済請求がないので、おそらく借金は返済済みだと思います。
しかし、不動産自体に設定された根抵当権 (revolving mortgage) が抹消されているかどうかがわかりません。
根抵当権 (revolving mortgage) が設定されたままの場合、家のリフォームも建て替えも出来ません。
その場合には債権者の承諾が必要になります。
山の神様:
もう一つ問題があります。
実は、あなた達の祖父である竹蔵さん(TAKEZOU)が亡くなった時、遺産相続協議が始まりました。
その話し合いの最中、竹義さん(TAKEYOSI)とその兄弟である竹之さん(TAKEYUKI)、竹文さん(TAKEFUMI)、竹江さん(TAKEE)が争いを始めました。
それが原因で、その時の相続がまだ完了していません。
家の名義も土地の名義もそのほとんどが、竹蔵さん(TAKEZOU)の名義のままです。
今回の遺産相続協議の話し合いでは、以前争いをした時の因縁があなたたちに襲い掛かってくるかもせれません。心の準備もしておきなさい。